世界時価総額ランキング1位、時価総額7000億ドル(約83兆6000億円)を突破したAppleという企業についてのデザインの観点から見てみました。
Appleといえば、ご存知のように非常にデザインに対して力を入れている企業です。その拘りようといえば、iMacの内部の基盤設計などの見えない部分から箱開封のに至るまでのものとなっています。 その独自のデザイン性から濃厚なアップルファンが多く、国境を越えてユーザーの熱い支持を集めています。
日本でも新しいiPhone/iPadが発売となるたび販売店前に長い行列ができるのも、もはや年中行事となりましたよね。 ロゴマーク作成やWEBデザインのご依頼でも「Apple」みたいなイメージでとのご要望を頂くことが多くなったように思います。
今回は世界で最も価値あるブランドとされるAppleのロゴの歴史についてご紹介します。
[Cover Photo © Thanks, Steve/Jonathan Mak]
Appleのロゴ歴史
かじったリンゴマークをみればApple製品だと誰もがわかるくらいAppleのロゴマーク知られていますよね。 日本では街中にiPhoneがあふれているのでリンゴマークを見ない日はないぐらい普及しましたね。 ロゴは企業ブランドを作り出す上で非常に重要なものになっており、会社の顔とも言えるものですがAppleは数回に渡りロゴを変更しています。 はじめから誰もが知っているリンゴマークだったわけではないのです。
ロゴマーク
1976年 ニュートンのロゴ
Apple設立当初のロゴでリンゴの下に座って読書するアイザック・ニュートンが描かれ、今にも落ちそうなリンゴが頭上にぶら下がっている版画調のデザインです。
“Newton… A Mind Forever Voyaging Through Strange Seas of Thought … Alone.”
『心は永遠に不思議な思考の海を旅する。一人で。』を意味する文字が額縁には刻まれています。
このロゴはAppleの創始者の1人であるロナルド・ウェイン氏がデザイン。しかし彼は2週間で、自身の持ち株だった10%を、借金返済のために800米ドル(約8万3000円)で売却しAppleを去っています。 彼が売却した株は今日では、400億米ドル(約4兆億円)の値打ちです。
Appleも初めから大ブランドだったわけではないということですよね。 約40年でこれだけのブランド価値をつけるってもの凄いです。 絵柄が複雑だったりしたこともあり、1年も経たないうちに変更されましたが歴としたAppleの初代ロゴです。
1976年〜1998年 レインボーアップル
その後、正式採用されたのがカラフルなレインボーロゴ。 故スティーブ・ジョブズ氏はデザイナーのロブ・ジャノフ氏へロゴデザインを委託し、お馴染みのかじったリンゴマークとなりました。 これは現在にも渡って変わっていません。
このロゴは 1998年までの約22年という長い期間に渡って使い続けられました。
1998年〜2000年 単色アップル
故スティーブ・ジョブズ氏が復帰し再びAppleの舵を取る事になった翌年の1998年の初代 iMac の発売頃にレインボーカラーのロゴから単色のロゴに変更されました。(ただし、単色ロゴ自体は既に製品パッケージなどでは使われていたものになるので初めて採用されたものというわけではありません。)
「子供っぽい、場に合わない」という理由で、ジョブズはレインボーカラーとの決別を決めました。 この単色ロゴは、製品のカラーなどに応じて異なる色のリンゴマークでした。この単色ロゴは現在でも iPad などの各製品でも採用されていますね。
2001年〜2007年 Aquaアップル
2001年の Mac OS X の正式リリースに合わせて登場したのが、立体感のある「Aqua」テーマに合わせたような上記のようなロゴ。単色ではあるもののガラスのような質感を持たせたロゴデザインです。
2007年〜 2003年 メタル調アップル
Mac OS X 10.3 Panther から採用されたメタル調のインターフェースデザインの採用から一部で採り入れるようになり、2007年の Mac OS X 10.5 Leopard から全面的に採用されるようになりました。ロゴもメタリックな製品のアルミを意識したようなものになっています。このロゴは iPhone などの起動時にもお馴染みのロゴですよね。
引用元:アップル インコーポレイテッドwikipedia , いーとてくのろじ , Pine-App1e
ロゴタイプ(フォント)
1976年〜1984年 Motter Tektura
初期の文字フォントはロゴと組み合わされることも多かったため、かじり跡の一に小文字の「a」が入る「Motter Tektura」というフォントが採用されました。このフォントは、Apple Ⅱ の頃には Apple の公式フォントのような扱いをされていきました。Motter Tektura」は、初代 Mac が発売されるまで使用されていきました。
1984年〜2002年 Apple Garamond
1984年の初代Macの発売とともにメインフォントとして採用されたのが「Apple Garamond」というフォントです。それまでのコンピューターチックなフォントからシンプルなセリフフォントに変更され、約18年間の長きに渡って採用され続けました。Steve Jobs 復帰後の1998年からキャンペーンとして展開された「Think different.」でも使用されています。
2002年〜2012年 Myriad
最後の文字フォントの変更が行われたのは2002年。この年に、モダンな「Myriad」へと変更され初代 iPod 発売の翌年から採用されるようになっていきました。また、同じ「Myriad」フォントでも製品によって異なるウエイトにすることで使い分けも行われています。
引用元:Pine-Apple
Appleロゴの秘密
ロゴ由来の真実
ロゴの「リンゴがかじられている」意味は、聖書の『アダムとイブ』の禁じられた果実リンゴのことで、禁断を破った人類の進歩を表している。そして、もうひとつの意味、「bite(=かじる)」と、コンピューターの情報量の単位「byte(=バイト)」をかけていると、日本のメディアでも紹介されましたが、ロゴをデザインしたロブ・ジャノフ(Rob Janoff)さんは、これらの伝説を否定しています。
“がっかりさせると思うけど、リンゴにかじった部分をデザインに入れた理由は、
みんながデザインを、チェリー(さくらんぼ)と見間違えないためだよ。それと、象徴的でしょ”
-ロブ・ジャノフ
アップルのロゴと『アダムとイブ』の関連性は無く、また、本人はデザインした当時、「byte」のことさえ知らず、事実と異なって語られるロゴ誕生の伝説に関心したそうです。
スティーブ・ジョブズからロゴ制作を依頼されたときの指示は「可愛いロゴにしないでくれ」のみで、一切のデザインを任されたそうです。「欠けた部分あり・なし」の2パターンを見せて、結局現在の「かじられたリンゴ」が選ばれました。
ユーザーの間に伝説まで生んでしまうAppleのロゴデザイン。私もメディアの記事を読んだ時、そんなに奥が深いのか!と驚いた記憶があります。現実とは異なってはいたようですが、想像力が膨らみその背景を推測してしまいたくなるようなデザイン、ロゴは影響力が大きく人を惹きつけるのでしょう。
引用元:ケメ子のウェブブログ , page-i
アップル・ロゴはなぜ逆さまだったか
[「逆さまのロゴ」が付いた『PowerBook』を使うスティーブ・ウォズニアック-Photo: 2005 by Al Luckow/Wikimedia Commons]
「マック信者」となって日の浅い人は知らないかもしれませんが、Apple社のノートパソコンのフタの上で光り輝く象徴的なロゴが、「逆さま」に配置されていたことがありました。
開いた状態の『PowerBook』や『iBook』を別の人が正面から見ると、Appleのロゴが軸の上でバランスをとり、まるで爪先立ちで回転している最中のように見えたのです。
Apple社の元上級ウェブアプリ技術者でマーケティングを担当していたジョー・モレノが、5月20日(米国時間)に自分のブログで、Apple社の元のデザインの裏話を明かしました。
モレノ氏は、Apple社の従業員がどんな問題でも尋ねることができる社内システム『Can We Talk?』を利用してこの問題を追求したとそうです。それによると、Apple社のデザイン部門は、この問題をかなり徹底的に議論したようです。
ノートパソコンを開くユーザーにロゴの向きを合わせると、フタが開いた後はロゴが逆さまになります。フタが開いているときにロゴを正しい向きにすると、フタを開こうとするユーザーにとってはロゴが逆さまになります。
当時の最高経営責任者(CEO)であったスティーブ・ジョブズは、ユーザーにとって最高の使い勝手を求めていたため、Appleのロゴは当初、周囲にいる人には逆さまに見えるように配置されました。 しかし、数年後にこれは修正されました。
“逆向きの状態でパソコンを開けるのは数秒間だけの自己修正される問題だが、
逆さまになったロゴを眺めるのはずっと続く問題だ”
-モレノ氏
この修正は賢いものだったといえるでしょう。
特に、Appleのノートパソコンはハリウッド映画で頻繁に登場するのだから。
引用元:WIRED
プロダクトデザインに隠された「黄金比」
シンプルなAppleのデザインは実に精巧に計算されています。ありとあらゆるところに最も安定し美しい比率とされる「黄金比」1:1.618(約5:8)が現われます。ロゴデザインやWebページ、製品に至るまで「黄金比」で構成されています。
アップルのロゴ
「かじられたリンゴ」のデザインは、そのほとんどが「黄金比」で構成されていると、ブラジルのビジュアル・デザイナーThiago Barcelosさんが発見・解明して話題になりました。ロゴは1977年に考案して、コンピューターを使わずに手書きで作成したそうです。 左側の図は、直径の比ががフィボナッチ数になっている円を集めた「黄金長方形」。右の図は、これとアップルのロゴの曲線の直径を比較したもの。あらゆる箇所のサイズが緻密に計算されているのが分かります
iCloudのロゴ
円の直径やロゴの縦横比が黄金比(1:1.618)になっています。
アップルのウェブページ
ウェブページにも黄金長方形が出現しています。
Macbook Airの内部
ちょっと無理やりな感じもしますが、Macbook Airの内部です。
iPhone4
スクリーンの分割がすごいですね。
Mac OS X Lion
ライオンの顔も黄金比のものが選ばれているようです。
引用元:dailynewsagency
Appleのロゴ書けますか?
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者チームが同行の学生に対し、アップル社のりんごのロゴマークが人々にどの程度正確に記憶されているかを調査しました。
アップルのロゴを手書きで再現させたところ、りんごの形や、かじられた部分、葉っぱの形や向きを正確に描くことができた被験者は85人中1人だけでした。
Appleロゴを少しずつ改変したシンボルを見せて正しいものを選ばせるテストも、正解者は少なかったそうです。
あなたは正解できますか?
普段からよく目にしているはずの、シンプルで有名なあのAppleのロゴマークでさえ人は正確に把握することが難しいのですね。ロゴ作成時にはそういった点も加味してイメージしやすく覚えやすいロゴ作成が重要になってくるのかもしれませんね。
引用元:mail online , sodicom
まとめ
Appleのロゴ変更は短期的なイメージ刷新戦略に加え、長期的には、あらゆる製品・生活に溶け込むプロダクトを創り続けていくという方針転換の現れにも読み取れますね。
そして実際にApple製品は私たちのあらゆるシーンに「溶け込んだ」と言っても過言ではない位に普及しているわけで、見事に戦略を実現したAppleは改めて流石だと思います。
現在のロゴが我々社会に与えた影響も少なくはなく、やはりロゴを含めたデザインは企業にとってもサービスにっても大変重要なものであると言えるでしょう。